ソフトボール投手にHIITは必要?投手に必要なエネルギー供給から考えるトレーニング
- 幸平 宮下
- 8月14日
- 読了時間: 7分
こんにちは!
Koalab宮下です!
本日は、
ソフトボール投手にHIITは必要?投手に必要なエネルギー供給から考えるトレーニング
という内容でおおくりします!
「投手の体力づくり」と聞くと、どのようなトレーニングを想像するでしょうか。
長距離走をする。
グラウンドを何周も走る。
ダッシュを何本も繰り返す。
こうしたトレーニングは昔から行われてきました。
しかし、トレーニングを考えるときに大切なのは、
「とにかく疲れること」ではなく、「競技で必要な能力を鍛えること」
です。
今回はソフトボール投手に必要な体力を「エネルギー供給」という視点から考えながら、ATP-PC系・解糖系をターゲットにしたHIITについて解説していきます。
そもそも身体はどうやって動いている?
私たちが走ったり、ジャンプしたり、ボールを投げたりするとき、筋肉はエネルギーを使います。
そのエネルギーとして直接利用されるのが、
ATP(アデノシン三リン酸)
です。
車を動かすためにガソリンが必要なように、筋肉を動かすためにはATPが必要です。
ただし、筋肉の中に最初から蓄えられているATPはそれほど多くありません。
そこで身体は運動中、ATPを作り直しながら動き続けています。
その代表的な仕組みが、
ATP-PC系
解糖系
有酸素系
の3つです。
重要なのは、
「この運動はATP-PC系だけを使う」というように完全に分かれているわけではない
ということです。
3つは常に働いており、運動の強度や時間によって「どのシステムの貢献が大きくなるか」が変化します。
① ATP-PC系|一瞬の爆発的な動き
まず投手にとって非常に重要なのが、
ATP-PC系(ホスファゲン系)
です。
これは短時間・高強度の運動で大きく働くエネルギー供給システムです。
例えば、
全力ダッシュ
最大ジャンプ
重いものを爆発的に持ち上げる
全力投球
などです。
ソフトボールの1球の投球動作は非常に短時間で終了します。
そのため、
「一瞬で大きな力を発揮する能力」
は投手にとって重要になります。
ただし、ATP-PC系には弱点があります。
それは、
大きなパワーを出せる代わりに、長時間続けられないこと。
そこで「全力運動→休息→全力運動」を繰り返す方法を使います。
② 解糖系|高い出力を繰り返す能力
次に考えたいのが解糖系です。
ATP-PC系だけではエネルギー供給が追いつかなくなってくると、解糖系の貢献も大きくなってきます。
例えば、
10〜30秒程度の非常に強度の高い運動
をイメージすると分かりやすいでしょう。
もちろん「10秒を超えた瞬間にATP-PC系から解糖系へ切り替わる」という意味ではありません。
運動時間が長くなるにつれて、エネルギー供給の割合が変化していきます。
野球投手を対象とした研究でも、30秒間の全力自転車運動による平均パワーと投球速度との間に有意な正の関係が報告されています。
また、プロ野球投手を対象とした研究では、投手のコンディショニングについて、投球が短時間・最大強度の運動であることから、インターバルやスプリントを中心とした無酸素性トレーニングが提案されています。
もちろん、これは野球投手の研究であり、ソフトボール投手へそのまま当てはめられるわけではありません。
しかし、投手のコンディショニングを考える上で参考になる考え方です。
「投手だから有酸素運動はいらない」は間違い
ここで一つ注意したいことがあります。
ATP-PC系と解糖系を鍛えたいからといって、
「有酸素能力はいらない」
ということではありません。
例えば、
全力ダッシュ
↓
休憩
↓
もう一度全力ダッシュ
をするとします。
この「休憩している時間」にも、身体では次の運動に向けた回復が進んでいます。
つまり投手に必要なのは、
強い運動をする能力だけでなく、次の強い運動までに回復する能力
でもあります。
ソフトボールの投球も、
投球
↓
次の投球まで待つ
↓
再び投球
という繰り返しです。
そのためHIITでは、
運動時間だけでなく「休息時間をどう設定するか」
が非常に重要になります。
ソフトボール投手向けHIIT①
6秒全力ダッシュ+30秒ウォーク
まずおすすめしたいのが、
6秒全力ダッシュ
+
30秒ウォーク
です。
これを6〜10本程度行います。
なぜ6秒なのか?
目的は、
できるだけ高いスピード・パワーを発揮すること
です。
短時間の全力運動にすることで、ATP-PC系の貢献が大きい状態で高い出力を狙います。
ポイントは、
「6秒間耐える」のではなく「6秒間できるだけ速く動く」こと。
そのため、30秒のウォークを入れます。
完全に回復させるというより、ある程度回復させながら高い出力を繰り返していきます。
メニュー例
6秒 全力ダッシュ
→30秒 ウォーク
×6〜10本
初心者であれば、まず6本程度から始めて構いません。
ソフトボール投手向けHIIT②
10秒全力+30秒休息
もう一つは、
10秒全力運動
+
30秒休息
です。
6秒より運動時間を長くすることで、ATP-PC系だけでなく、解糖系の貢献もより大きくなる設定です。
例えば、
エアロバイク
Wattbike
シャトルラン
坂道ダッシュ
などでも実施できます。
メニュー例
10秒 ALL OUT
→30秒休息
×6〜8本
こちらは6秒ダッシュよりも後半に疲労が出やすくなります。
そのため、
「何本できたか」
だけを見るのではなく、
後半まで高い出力を維持できているか
を見ることが重要です。
6秒と10秒では目的が少し違う
一見すると4秒しか違いません。
しかし、トレーニングとして考えると狙いは少し変わります。
メニュー主な狙い特徴
6秒全力+30秒ウォーク
ATP-PC系寄り
高いスピード・パワーを繰り返す
10秒全力+30秒休息
ATP-PC系+解糖系
疲労下でも高い出力を維持する
長時間のランニング
有酸素系寄り
持続的な運動能力
だから、
「HIITなら何でもいい」わけではありません。
時間設定によって鍛えたい能力が変わります。
「疲れた=良いトレーニング」ではない
HIITをすると非常に疲れます。
汗も出ますし、息も上がります。
そのため、
「今日は追い込めた!」
という感覚が得られやすいトレーニングです。
しかし、
疲労の大きさ=トレーニング効果
ではありません。
例えば6秒ダッシュを10本行ったとして、
1本目:100%
2本目:98%
3本目:97%
4本目:93%
5本目:85%……
とスピードが大きく低下していけば、後半は最初と違う刺激になっている可能性があります。
ATP-PC系を狙って高いパワーを出したいのであれば、
「疲れているけれど続ける」より、出力が大きく落ちる前に終了する
という考え方も重要です。
では、投手にはどちらをやればいい?
おすすめは、目的によって使い分けることです。
高いパワーを繰り返したい
6秒全力+30秒ウォーク
短時間で高い出力を発揮することを優先します。
解糖系まで刺激したい
10秒全力+30秒休息
少し長く高強度運動を継続し、疲労がある中でも出力する能力を狙います。
どちらが優れているという話ではありません。
「何を鍛えたいのか」によって設定を変えることが重要です。
ソフトボール投手のトレーニングは「競技から逆算する」
投手だから走り込み。
投手だから長距離走。
投手だからダッシュ。
という考え方ではなく、
まず、
「ソフトボールの投球ではどのような能力が必要なのか?」
を考えます。
そこから、
競技特性
↓
必要な体力
↓
エネルギー供給
↓
トレーニング
という順番で考えていきます。
プロ野球選手を対象とした研究でも、身体能力評価としてジャンプ、10ydスプリント、300ydシャトルなど複数の能力が評価されており、投手の身体能力を単一の要素だけで捉えないことも重要です。
まとめ
ソフトボール投手のコンディショニングを考えるとき、
「どれだけ走ったか」ではなく「何を鍛えるために走ったのか」
を明確にすることが大切です。
短時間で爆発的な力を発揮するならATP-PC系。
高強度運動を少し長く維持するなら解糖系。
そして、それらを繰り返すためには回復能力も必要です。
だからこそ、
6秒全力+30秒ウォーク
と
10秒全力+30秒休息
では、同じ「ダッシュトレーニング」でも意味が少し違います。
トレーニングは、きつければいいわけではありません。
目的が変われば、運動時間も休息時間も変わる。
ソフトボール投手のトレーニングも、「なんとなく走る」から一歩進んで、
投球に必要な能力から逆算してトレーニングを選択する。
そんな考え方を持ってみてください。
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